(福樹工房) 神里 佐千子
神里 佐千子
(プロフィール)
1988年 宮古織物事業協同組合で宮古上布の織りと藍染を学ぶ

約7年間)その後平良市勤労青少年ホームで友人と染

織講座を受け持つ
2000年 福樹工房を開設

宮古を夢のある織りの島にしよう!と周囲の織手たちと糸づく
りや植物染めや絣の研究にがんばっています。
製作者のコメント



私が宮古上布を始めたのは、母の知り合いが宮古織物事業協同組合で宮古上布を織っているところを見学しに行ったことがきっかけです。
その頃私はちょうど体調をくずしていた時期だったので、気晴らしになればという気持ちで組合へ行ったのですが、集中して織りに専念している姿を見て“すごいところにきてしまった”と思いました。
私の中での機織のイメージは“パタン カラン”と淀みなく糸を織っていくものだったからです。こんな細かな作業が私にできるのか。技術を習得するのに一体何年かかるのかと素朴に思い尋ねると、10年かかるよ。と言われました。
そのときにはなんて長いのかと感じましたが、10年は本当にあっという間に過ぎ、今では織り始めて23年が経ちました。
織りを始めたころは自分がいかに宮古上布を知らなかったのかを知り、図書館に通っては必死に宮古上布について調べ、勉強していきました。
もっと頑張りたい。広がりのあるものを作りたいと思い、7年が経った頃に平良市勤労青少年ホームで友人と初心者向けの染め織りの講座を受け持ったのですが、徐々に人が集まっていったので、5年後に“福樹工房”を設立しました。
工房で新たに織りを始めた人がどんどん成長していくのは見ていて私自身の励みにもなります。
仕事は実際にやり、そして続けることで初めて技術も能力も備わってくるという意味で “仕事が仕事を教える”ということわざがあるように、今やっていることは必ず次につながるから、若い人にはデザインをどんどん書くように言っています。
私自身、あれもやりたい、これもやりたいと次に織りたいもののアイデアが尽きません。


今、宮古上布は様々な問題を抱えていますが、その一つに高齢化による原料糸の不足が挙げられます。
糸績みは80代のおばぁたちに頼っている状態で、新しく糸績みの技術を身につけようとする人はいるのですが、その人たちが今後おばぁたちと同じ早さで糸を作れるようになるのかということが心配で、考えてしまいます。
最近では糸も少しずつ太くなって、扱いにくくなってきています。
いい糸を作るということにこだわりたい、そのために苧麻の栽培にも力を入れていきたいと思っています。
そして、自分のところで育てた苧麻から“良い糸が出来たよ”という声が聞きたいです。
今後はもっとたくさんの方々と関わりながら、宮古上布のことを話して考えていきたいと思っています。




下の画像クリックで神里佐千子さんの作業風景がご覧いただけます。



作業風景1 作業風景2 作業風景3 作業風景4
福樹工房
神里 佐千子さんと出会って


神里さんと初めてお会いしたとき、決して妥協をしない強さと、自分自身のこだわりを持っている方、という印象を受けました。
それは宮古上布に誰よりも真剣に向き合っていると感じたからです。
疑問に思ったことは突き詰めて考える、という神里さんの研究熱心なところは作品に表われていると思います。
神里さんの作品からは、真剣に織りと向き合ったことが伝わってくるかのような安心感、そして宮古上布に対する誇りが感じられます。
今回初めて二人きりでお話させていただいたのですが、神里さんの話す言葉には迷いがないと思いました。“どうしてそう思われるのか”“どうしてそうしようと思われたのか”という事細かに疑問をぶつける私に対してひとつひとつの理由を丁寧に答えてくださるので、安心して質問をすることが出来ました。


“宮古上布を今後残していく為にはいい糸を作ることが大事”と神里さんは言います。
近年、後継者不足による原料糸の不足が問題視されているわりに、その対策が進まないことに疑問を感じることがあるそうです。
“糸を績んでくださるオバァたちがいるからこそ織ることができる、そのオバァたちに頼っている状況が心配でならない”
細い糸を作れる状態を残すためにも苧麻栽培にも力を入れていきたいそうです。
そして、自分の所で作った苧麻から“上等な繊維がとれた、いい糸が作れたよー”というオバァたちの声が聞きたいのだといいます。
福樹工房という自身の工房を設立しており、織りにも20年以上携わってきた神里さんですが、まだまだ学ぶべきことはたくさんあるのだといいます。
あれもやりたい、これもやりたいと思っているうちにあっという間に時間がすぎたと神里さんはいいますが、宮古上布に対して何よりも真剣に取り組んできたからだと思います。
工房で教えた人たちが独立して、頑張って織りを続けていくのを応援したい。たくさんの人がこの工房から巣立っていって欲しいと言う神里さんの表情はとても朗らかで、心から応援し、大切に想っていると感じました。
お話をするなかで、神里さんがいかに宮古上布を好きかということが伝わってきました。宮古上布の話を始めるといつまでも終われない、楽しい。と笑う神里さんを見て、ここまで惹きこんでしまう宮古上布の魅力に改めて感動したと共に、宮古上布に真剣に取り組む神里さんの姿から、何か一つのことと向き合う姿勢を学ぶことができました。

取材者・文/小池佳子 2008.09
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