(織工房下地) 下地 達雄
下地 達雄
宮古上布意匠伝統工芸士
宮古上布技術保持団体員
13歳のときに"本村 恵祥工房"に入り、宮古上布の世界に入る。
52年、宮古上布、そして十字絣の絣締めに関わってきました。
昔の人に比べると、最近の人は身体も大きく発達してきているの
で、巾を広く し、長さも伸ばして今の若い人たちにも親しんでもら
えるように対応していきたいです。
400年以上受け継がれてきた、藍の十字絣を守っていくため、
後継者育成に 力を入れています。
製作者のコメント



私が、宮古上布の世界に入ったのは、13歳のときです。
家の近くに母の上布の模様を締めている、『本村 惠祥工房』があったので、母にお願いしてもらい、弟子入りをしました。
4歳のときに父に先立たれてから五人の兄妹を育てるため、母は、昼は行商、夜は機織の毎日でした。 その様な家庭で育ったので、“早く自立したい”という思いは人一倍持っていました。
色々と苦労もありましたが、母の頑張る姿を見て、“自分も頑張ろう”と励んできた結果、その技術を認めてもらうことができ、伝統工芸士にもなれました。
伝統工芸士とは、国が指定した伝統工芸品の産地で、伝統工芸品を一定の年月作り続け、高度な伝統的技術を持つ人を対象に、伝統的工芸品に関する知識、及び実技試験を実施し、合格した者にだけ与えられる称号ですが、この称号は母のおかげでもらうことができたんだと思っています。
宮古上布には、長所・短所もありますが、宮古上布を着ておられる方を見たときは、素晴らしい、とても格好良い、と感じます。
それは、宮古上布が濃紺であるからではないかと思います。
400年以上受け継がれてきた藍の十字絣である宮古上布を守っていくために、後継者育成に力をいれていきたいと思っています。また、昔の人に比べると、最近の人は身体も大きく発達してきているので、巾を広くし、長さも伸ばして今の若い人たちにも親しんでもらえるように対応していきたいです。
これが、私のこだわりであり今後の目標です。




下の画像クリックで下地達雄さんの作業風景がご覧いただけます。



作業風景1 作業風景2 作業風景3 作業風景4
作業風景5 作業風景6 作業風景7 作業風景4
宮古上布意匠伝統工芸士
宮古上布技術保持団体員
下地 達雄氏と出会って


宮古上布意匠伝統工芸士である、下地 達雄氏に初めてお会いしたとき、まずその気さくなお人柄に驚かされました。
“伝統工芸士”という堅い言葉から、とても厳格な方を想像していたので、明るい笑顔を向けてくださる達雄氏を見て安心感を
覚えたとともに、その優しさがとても嬉しく感じました。
宮古島の中で数少ない十字絣の絣締めの技術を持つことで知られる、宮古上布意匠伝統工芸士の達雄氏。
13歳のころから宮古上布の世界に入り、現在、締め機の52年の経歴を持ち、その技術と経験の高さから、多くの人に一目置かれる存在となっています。
実際に機締めの作業、そしてむしろ状にされた染色を施される前の糸、そして、母のミツさんの手で丁寧に織り上げられた、藍で十字絣の宮古上布を見せていただきました。
深い光を帯びた藍の中に、白く抜かれた絣が非常に美しく、達雄氏によって絣締めをされた糸から上布が出来上がるまでの経緯が感じられて、改めてその素晴らしい手技に感動させられました。
また、達雄氏が書かれた図案も見せていただきました。
図案は、方眼用紙のマスの交差する部分に点描の要領で十字もしくは点を書き入れて、絵柄を作成していきます。
このときに見せていただいたのは十字絣の図案だったのですが、小さな十字がえんぴつで細かく書き込まれていて、まるで印刷されたもののように丁寧で、その細かさからはとても手作業で行われたものとは思えないほどでした。
達雄氏の宮古上布、そして十字絣に懸ける思いや心を、その美しい図案のなかに感じました。


匠の技を持つ達雄氏ですが、たくさんのお話を聞かせていただく中で、母であるミツさんのことを非常に大切に想っていられることが感じられました。 達雄氏は、幼い頃から人一倍苦労しているミツさんの姿を見て、出来れば早く自立したいという思いを持っていたそうです。
“色々と苦労もあったけれど、母の頑張る姿を見てきたからここまで頑張ってこられた。母には心から感謝している”
今現在でも昼は機織り、夜はテレビを見ながら糸績み、という働き者のミツさん。
その姿には頭が下がる、と達雄氏は言います。宮古上布がミツさんの元気の素だから、楽しそうにやってくれているのは見ていて嬉しいけれど、母に比べて自分は頑張りが足りないのではないか、と感じることもあるそうです。 達雄氏は、そんなミツさんの助けになれればと、今後は少しずつでも織りのほうにも目を向けていきたいといいます。 しかし、工房におられる生徒さんたちが織るものの用意などがあるので、なかなか進まない、と少し困ったように笑われました。
“それでもやらなければいけないと思う。母だっていつまでも元気というわけでもないので・・”そう話す達雄氏の真剣な横顔からは、宮古上布の伝統を守るという強い使命感を感じました。


達雄氏の宮古上布に対するこだわりとして、“伝統的な藍の十字絣”があります。
長く受け継がれてきた宮古上布の伝統の形を守るために“琉球藍であること”“十字絣であること”にこだわりたいのだと、 達雄氏はいいます。
達雄氏の指を見せていただくと、その指先は藍色に染まっていました。
何度も何度も丁寧に染色を行ううちに、そうなってしまうのだそうです。その青く染まった指先が、宮古上布に長く培ってきたものの勲章のように感じられました。


達雄氏のお話を通じて、達雄氏とミツさんの絆の深さや、達雄氏の母ミツさんを思いやる気持ちを感じることができました。
“織工房 下地は、母の80年以上の経験を頼りにお願いして作った工房で、下地ミツが指導員です。二人で力を合わせて、後継者育成に頑張っていきたい”
はっきりとそう話す達雄氏からは、母であるミツさんを誇りに思う強い意志を感じたと同時に、人から人へと受け継がれてきた、素晴らしい手技を絶やしたくないという想いが伝わってきました。
そんな達雄氏によって生み出された宮古上布は時代を問わず、輝き続けることだと思います。



取材者・文/小池佳子 2008.09
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