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(工房がじまる) |
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根間 千鶴
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宮古上布の世界に入ってまだ間もないですが、織りが進むと |
きには自分も自然の一部になったような気持ちになり、とて |
も楽しいです。 |
宮古上布の伝統を残していくためにも頑張って続けていきた |
いと思います。 |
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製作者のコメント
私は宮古島の出身なのですが、大学の卒業制作で宮古上布について調べるまでその名前を聞いたことはあっても、それがどうゆうものなのか関心を持って調べることはありませんでした。その卒業制作では宮古織物事業協同組合の方にお話を伺ったりして、宮古上布について取り上げた映像作品を作ったのですが、取材のなかで現在の宮古上布が抱える後継者の問題にも触れ、伝統が絶たれてしまうという危機感を感じたと共に“自分の故郷にこんなに素晴らしい織物があったのか”とその美しさに惹かれて、卒業後は宮古上布の世界に興味を持ちました。
卒業後、宮古織物事業協同組合のブー績み教室に参加するなどしていたところ、ご縁があって羽地さんと知り合うことが出来ました。
皆さん親切で優しい方ばかりなので安心して学ぶことが出来ます。
中でも、織りだけでなく宮古上布すべての工程に取り組んでいる美由希さんの活動は、私ももっと上手くなりたいという気持ちを高めてくれます。
作業の様子を見たり聞いたりしているとすごく勉強になるので、少しでも織りに関わる時間を作って、成長していきたいです。
今はまだ織ることしか出来ない私ですが、天候によって織りがスムーズに進むときには自分も自然の一部になったかのような気持ちになれるので、すごく楽しいです。
一人前になるにはまだまだ遠い道のりですが、宮古上布についてもっと深く知るためにも、織り以外のことも勉強して自分の作品といえるものが作れたらと思います。
工房がじまる
根間 千鶴さんと出会って
根間さんは、私が今までお会いしてきた宮古上布に携わる方々の中でも一番若く、私と同世代であったこともあって、とても楽な気持ちでお話させていただくことが出来ました。大学の卒業制作の取材の中で宮古上布に触れ、卒業後この世界に入ろうと決めたという根間さん。卒業制作がきっかけで宮古上布を知ることが出来たので、あの時卒業制作で宮古上布について取り上げてみようと思って良かったと話してくれました。
初め、大学で広報学科を専攻していたと聞いたときに“ジャーナリスト志向だったのかな”と思ったため、素人の私が専門的に学んだ根間さんに対してインタビューすることに対して、少しためらいを感じたのですが、気さくに答えてくださる根間さんの笑顔にその緊張もすぐに解け安心して質問することが出来ました。
卒業制作では、根間さん自ら宮古織物事業協同組合を訪れて、組合の方に話を聞き、10分から15分間宮古上布について取り上げた、いわば宮古上布のドキュメンタリー映像を作られたそうです。
その中で、宮古上布の抱える後継者の問題にも触れたというお話を聞いて、根間さんの視点から撮られた宮古上布の世界を見てみたい気持ちになりました。
映像を撮って編集することが特に好きだったそうで、何かを作りあげていくことが好きな方なのだろうなと思いました。宮古上布について話す根間さんの表情はとても生き生きとしていて、純粋に宮古上布を織ることを楽しんでいるという印象を受けました。
実際に宮古上布の世界に入って、その手仕事の細かさに驚かされることが多いそうです。しかしその驚きが、“もっと上手くなりたい”という向上心に繋がり、やる気に変わるのだと根間さんは言います。
また、母親の世代の人たちから“頑張って続けるんだよー”と応援されることも多く、そうやって声をかけてもらえることがとても励みになるのだそうです。
宮古上布に携わってまだ間もない根間さんからは、小さなことからでも学び取ろうとする懸命な姿勢が感じ取られ、お話を聞かせていただく中で“宮古上布の今後を守る為にも頑張って続けてほしいな”と応援する気持ちになっていきました。
自分と同世代の根間さんが、宮古上布という伝統の世界で頑張っていこうとする姿は、見ていて私も嬉しくて、そのまっすぐな姿勢を見習いたいです。
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取材者・文/小池佳子 2008.09
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