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新垣 優香 |
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(プロフィール)
1985年 那覇市生まれ
2003年 沖縄県立首里高等学校(染織科)卒業
卒業後、首里染織、玉那覇紅型工房に入る
2006年 沖縄県工芸指導所(紅型コース)卒業後、独立
第十六回 「りゅうぎん紅型デザイン公募展」 奨励賞受賞 |
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制作者のコメント
私が紅型を始めたのは、幼い頃から絵を書くのが好きだったこともあり、自分なりの世界をなにかを作り上げることで表現した
いと思ったのと、自分が生まれ育った沖縄の伝統工芸について勉強してみたいと思ったからです。
工房に入り、紅型の基礎しか知らない頃は伝統にとらわれすぎて、自分らしいものが作れませんでしたが、工房を出てからは
作品の幅も広がり、学ぶことの多さに四苦八苦しながらも日々やりがいを感じています。
紅型の魅力は、太陽の光に負けないくらいの色鮮やかな色合いや南国らしいデザインにあると思います。しかしその色や柄を
うまく出すには、ひとつひとつの工程を大切にし、気をつかわなければなりません。
難しいと感じることも多く、失敗することもありますが、作品が出来上がったときの嬉しさは、
次の作品を作るときの喜びにつながります。
作品が形として残っていったり、誰かが使ってくれることを考えたりすると、この道に入ってよかったと思います。
以前、紅型でウェディングドレスを制作するお手伝いをしたことがあるのですが、
形にとらわれずに色々なものが描けてとても楽しかったです。
沖縄に生まれ住む人たちの中でも、紅型というのは派手な踊り衣装としてのイメージを持たれている方が多いので、同じ紅型
でも表現の仕方によって様々な魅力があるということをたくさんの人たち、特に若い人に知ってもらいたいです。
今後は古典柄のデザインを生かしながらも、今の若い人たちが身近に感じるような、新しい柄や色使いを取り入れた紅型を作
っていきたいと思います。
そして、日本の中だけじゃなく世界中の人たちに、
小さな沖縄という島の素晴らしい文化を知ってもらえたらいいなと思います。 |
下の画像をクリックで新垣優香さんの作業風景をご覧いただけます。
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新垣優香さんと出会って |
新垣さんは沖縄の人独特のおおらかな性格で、周りの人を和ませ自然と笑顔にしてくれる、とても柔らかい空気を持つ
方で、初対面の人と接するときにはいつも少し緊張してしまう私でも、その彼女のゆったりとしたペースに自然と肩の力が抜け、とてもリラックスした状態でお話させていただくことが出来ました。
そんな彼女だからこそ、初めて作品を見せていただいたとき、
その色使いや自由奔放なモチーフに少し意外性を感じました。
もし先に作品を見てから新垣さん本人に会っていたら、そのギャップに私は少し驚いていたかもしれません。
それほど新垣さんの作品には個性的で、現代風で、ポップで面白いといった感想を抱きます。
私は彼女の作品を見ると、柄や色使いに惹きこまれてつい買ってしまうといったような、
衝動買いをしてしまいたくなる気持ちになります。
それは彼女の作る紅型には女性が身に着けたいと思わずにいられない可愛さと、華やかさがあって、何より本人が楽
しんで製作したというのが伝わってくるので見ていて飽きず、楽しくなるからなのだと思います。
そして伝統的な紅型と独創的な世界観を上手く融合させることで、今の若い人たちにこんな紅型もあるのだということ
を訴えかけているように感じます。
どちらかといえば受身で大人しいといった印象の新垣さんですが、紅型の話になると積極的に自分の考えを聞かせて
くれました。その言葉には迷いがなく、紅型に対する彼女の強い思い入れを感じ取ることが出来ました。
そして、本当に楽しそうに明るい笑顔で紅型の魅力を話してくれる新垣さんを見ていて、
なにかひとつのことに打ち込んでいる姿はとても魅力的で、輝いているなぁと思わずにはいられませんでした。
自分なりの世界をなにかに描いたり、作ったりすることで表現したいという気持ちで紅型の世界に入ったけれど、自分
の伝えたいことを表現するにはまだまだ未熟な面が多くて、学ぶことがたくさんある。だけどその分毎日充実し、やり
がいを感じると新垣さんは言います。表現することはとても難しいものだと思います。
けれどそこからなにかを感じてもらいたいと思う気持ちが向上心につながって、
新垣さんを成長させているのだと感じました。
紅型に真剣に取り組んでいる彼女を見て、心から応援したい気持ちになったと同時に、何事においても素直なその姿
勢を見習いたいと思いました。 |
取材者・文/小池佳子 2008.09 |
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